指摘されたとき、反射的に「でも」「だって」と言いたくなったことはありませんか? 自分では気づいていないことも多いのですが、後から振り返ると、指摘されるたびに自己防衛していたというパターンに気づく人は少なくありません。
そして、その防衛反応のせいで同じ失敗を繰り返してしまうことも。
「指摘された瞬間、まず『ありがとうございます』と一言だけ言う」というシンプルなルールを意識するようになってから、少しずつ物事の見え方が変わってきたという声をよく聞きます。この記事では、そのシンプルな一言がなぜ大切なのかを掘り下げながら、指摘を成長に変えるための考え方をお伝えします。
なぜ指摘されるとすねてしまうのか
まず、指摘を受けたときに防衛的になってしまう理由を整理してみましょう。
人は自分が否定されたと感じると、無意識に自分を守ろうとします。「そんなつもりじゃなかった」「あのときは状況が悪かった」「自分だけのせいじゃない」——こういった言葉が反射的に出てくるのは、性格の問題ではなく、脳の自然な防衛反応です。
心理学では、これを「脅威反応(threat response)」と呼ぶことがあります。自分のアイデンティティや自己評価が脅かされると感じたとき、脳は危険から身を守るモードに切り替わります。その結果、冷静に情報を受け取ることが難しくなるのです。
問題なのは、この防衛反応自体ではなく、防衛反応が成長の機会を遮断してしまう点にあります。跳ね返し続けることで、本来得られたはずのフィードバックが活かせなくなってしまうのです。
「まず受け取る」の本質とは
ここで大切なのが「まず受け取る」という考え方です。ただし、これは指摘の内容をすべて受け入れることとは違います。
指摘の中には、的外れなものもあります。状況をよく知らない相手からの意見や、感情的に言われた言葉など、鵜呑みにしないほうがよいケースも当然あります。
大切なのは順番です。
- まず受け取る
- 自分の頭で考える
- 必要なものだけ取り入れる
この順番を守るだけで、指摘に対する自分の反応がずいぶん変わってきます。最初から跳ね返すのではなく、いったん受け取ってから判断する——それだけで、相手との関係性も、自分の成長スピードも変わってくるといわれています。
「ありがとうございます」と言うことは、相手の意見にすべて同意することではありません。「受け取りました」という意思表示です。この一言が、防衛モードへの切り替えを少し遅らせてくれる効果があるのです。
指摘を成長に変える3ステップ
STEP1:まず「ありがとうございます」と言う
反論しない、すねない、言い訳をしない。この一言だけ言えれば、最初のステップはクリアです。
難しく感じるかもしれませんが、実はここが一番重要なポイントです。この一言を言うことで、自分の中の防衛反応がいったん落ち着き、次のステップへ進みやすくなります。
すぐに言い返したい気持ちが出てきたとしても、まずこの一言を口にすることを習慣にしてみてください。
STEP2:自分で考える時間をつくる
指摘を受けた後、少し時間をとって一人で振り返ってみましょう。「確かにそうかもしれない」と感じる部分はあったか、「いや、自分にはこういう意図があった」と思う部分はどこか——自分の頭で整理することが大切です。
その場で反論するのではなく、一度持ち帰って考えるという姿勢が、冷静な判断につながります。感情が落ち着いてから振り返ると、最初は腹が立った指摘でも「なるほど」と思えることが意外と多いものです。
STEP3:取捨選択する
すべての指摘を受け入れる必要はありません。振り返った上で「これは自分に合う」と感じたものだけを取り入れ、合わないと判断したものは「参考にします」で終わらせて構いません。
このステップまで来て初めて、指摘が自分の成長につながります。受け取る→考える→選ぶという流れを一セットとして意識することで、指摘を受けることへの抵抗感も少しずつ薄れていくでしょう。
指摘してくれる人は実は貴重な存在
少し視点を変えて考えてみましょう。そもそも、人は誰にでも指摘をするわけではありません。
どうでもいいと思っている相手には、わざわざ時間と労力をかけて指摘しません。成長してほしい、よくなってほしいと思っているからこそ、あえて言いにくいことを伝えてくれるのです。
反対に、指摘を嫌がる態度を続けていると、やがて周囲から何も言ってもらえなくなります。表面上はラクかもしれませんが、成長の機会が静かに失われていく状態です。これが長期的には一番もったいない結果につながりかねません。
厳しいフィードバックをくれる人を、できれば「自分の成長を気にかけてくれる人」として大切にする視点を持ちたいところです。もちろん、悪意ある批判や不当な扱いは別の話ですが、善意からの指摘に関しては、こうした視点で受け取ることで見え方が変わってきます。
「ありがとうございます」が難しい理由と続けるコツ
頭では分かっていても、実際には難しいのがこの一言です。特に、自信を持って取り組んでいたことや、感情が高ぶっているときに指摘されると、素直に言葉が出てきにくくなります。
そんなときに役立つのが、「今は感情的になっているな」と自分を客観視する習慣です。指摘された瞬間に「あ、今防衛反応が出ているな」と気づくだけで、反射的に言い返す前に少し立ち止まれるようになります。
また、最初から完璧にやろうとしないことも大切です。うまく受け取れない日があっても構いません。「次はもう少し落ち着いて聞いてみよう」と思えるだけで、少しずつ変わっていけます。
まとめ
- 指摘に防衛的になるのは性格ではなく脳の自然な反応で、それ自体は悪いことではない
- 「ありがとうございます」の一言は同意の表明ではなく「受け取った」という意思表示で、成長の入り口になる
- 受け取る→考える→取捨選択するという3ステップを習慣にすることで、指摘が自分の成長につながりやすくなる
次にやること
- 次に誰かから指摘を受けたとき、まず「ありがとうございます」の一言だけを言ってみる
- 指摘を受けた後、その日の夜に5分だけ振り返る時間をつくってみる
- 「受け取る→考える→選ぶ」の3ステップを、付箋やメモに書いて目につく場所に貼っておく


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