去年1年を振り返ったとき、自分で決めたことが何個あったか、すぐに答えられますか。
自分の場合、これを最初に問い直したとき、かなり詰まりました。忙しかった記憶はある。でも、何を決めたかが出てこない。やっていたことは山ほどあるのに、「これをやると決めた」場面が思い出せない。
そのとき気づいたんです。忙しさと、決めた回数は、まったく別物だ、と。
生活の大半は「流れで始まったもの」でできている
今の仕事、今住んでいる場所、毎朝やっている習慣、よく話す人たち。これらをひとつずつ思い返したとき、「これをやると決めた」瞬間を覚えているものがどれだけあるか。
自分の場合、ほとんど覚えていませんでした。なんとなく始まって、なんとなく続いている。気づいたら生活の中心になっていた、というものばかりでした。
これ自体は仕方のないことだと思っています。全部を意識的に選んでいたら、疲れて立っていられません。人間の脳はそういうふうにできていないし、そもそも全部を選ぼうとする必要もない。
問題は、その先にあります。
決めずに始めたものは、やめるのが難しい
始めるときに決めていないということは、やめる基準も持っていないということです。
「こうなったらやめる」を最初に決めていないと、続ける理由がなくなっても、続いてしまいます。やめたいと感じているのに、きっかけがつかめない。そういう状態が、じわじわと積み上がっていきます。
自分の手元にも、そういうものがいくつもありました。もう何ヶ月も見返していない記録。合わないと薄々分かっているのに、切れない付き合い。効果を感じていない習慣。
どれも、始めるときに「これをやる」と決めていなかったものでした。決めていないから、やめる根拠がない。やめる根拠がないから、惰性で続く。
一方で、決めて始めたものは、やめるのが早い。合わないと分かった時点で、「あのとき決めたことを取り消す」という判断ができます。決めた記憶があるから、やめる判断もできる。決め方と、やめ方は、最初からセットなんだと思います。
「考えている」は、決めたことにならない
もうひとつ、自分が長い間ごっちゃにしていたことがあります。考えることと、決めることです。
考えるのは好きなほうです。ひとつのことを何時間でも頭の中で転がしていられます。でも、考えた時間の長さと、決めた回数は、まったく別物でした。
何時間考えても、決めていなければゼロです。そして厄介なのは、考えている間は「何かをしている感じ」がすることです。頭が動いている。資料を読んでいる。整理している。それが行動の代わりになっている気がしてしまう。
先日も、丸一日かけていろいろ考えて、最後に「結局よく分からない」に着地しました。考えることで満足してしまっていたんです。実際には、何も前に進んでいないのに。
考えることを否定したいわけではありません。考えることは必要です。ただ、考えることは、決めることの代わりにはならない。この区別を持っておくかどうかで、1年後の手元にあるものが変わってくると思っています。
「今は決めない」も、決めることのひとつ
とはいえ、「早く決めればいい」という話でもありません。
情報が足りない状態で決めると、後から入ってきた情報を無視するようになります。最初に出した結論に引きずられて、それを覆す材料が来ても見えにくくなる。早く決めることが、かえって判断を歪めることがある。
だから、「今は決めない」という選択肢があります。ただし、これは「決めていない」とは違います。「今は決めない」と決めている状態です。
保留と先送りを分けるのは、「いつ決めるか」が決まっているかどうかです。「情報が揃ったら決める」は先送りです。「この数字を見てから決める」「来月の頭に判断する」まであると、保留になります。期限と条件がある保留は、ちゃんとした決め方のひとつです。
重いものと軽いものを分けると、決める回数が増える
全部を慎重に決めようとすると、疲れます。そして疲れると、決めること自体が億劫になる。
決めるべきなのは、後で戻れないことだけです。住む場所、仕事の方向性、大きな支出、一緒にいる人。これらは時間をかけて決める価値があります。
後で戻れることは、軽く決めて、合わなければ変えればいい。時間をかけて迷うほうが、むしろもったいない。重いものだけ、ちゃんと決める。軽いものは、すぐ決めてすぐ直す。この区別があるだけで、決める回数が増えて、疲れは減ります。
1年分の「決めたこと」を書き出す、具体的な手順
ここからは、実際にやってみる手順です。自分もやってみて、思っていたより手が止まりました。
ステップ1:この1年にやっていたことを、まず全部書き出す
仕事、習慣、お金の使い方、付き合い、サービス、副業、趣味、なんでもいいです。思いつく限り、箇条書きで出します。
ステップ2:それぞれに「決めた記憶があるか」を確認する
条件は2つです。自分で選んだこと。そして、別の選択肢があったこと。流れで始まったものは入りません。他に選びようがなかったものも入りません。
ステップ3:「決めた」に残ったものを数える
5個を超えていますか。自分が最初にやったとき、思っていたより少なくて驚きました。
ステップ4:「決めた記憶がないもの」を見直す
流れで始まって、今も続いているものの中で、続ける理由が薄れているものはないか。これを確認するだけで、惰性で続いているものが見えてきます。
ステップ5:来年、増やしたい「決める場面」を1つ書く
決める場面は、放っておいても来ません。自分で作らないと来ない。だから、何を決める機会にするかを、あらかじめ決めておく必要があります。
まとめ
- 忙しさと、自分で決めた回数は別物。頑張っていても、決めていなければ手元に積み上がらない。
- 決めずに始めたものはやめられない。決めた記憶がないと、やめる根拠も持てないから。
- 考えた時間の長さは決めた回数にならない。考えることと決めることは、最初から別の行為として扱う。
次にやること
- この1年でやっていたことを全部書き出して、「自分で決めた」ものだけを残して数える。
- 惰性で続いているものを1つだけ特定して、続けるか・やめるかを今週中に決める。
- 来年中に「自分で決める」と決めておきたい場面を1つ書いて、手帳かメモに残しておく。


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